
弁護士の佐野です。
2022年12月、女性の再婚禁止期間についての民法改正があったと報道されました。
確かにそれはそうなんですが、子どもについても改正がなされています。
今回は、数回に分けて、この改正をまとめて解説したいと思います。
目次
1. 女性の再婚禁止期間がなくなりました
2. 子の父親は誰かについても整理されました
2.1. 嫡出推定
※結婚、離婚を繰り返した場合
2.2. 嫡出否認
2.2.1. 嫡出否認の訴え
2.2.2. 嫡出否認の訴え第2弾
2.2.3. 父親との同居が短い場合
2.2.4. その他の問題
2.2.4.1. 子の養育に使ったお金はどうなる?
2.2.4.2. 相続があった後に父親が推定されたら?
2.2.5. 前夫通知
2.2.6. 人工授精の場合
3. 認知
3.1. 父親との同居が短い場合
3.2. 子の養育に使ったお金はどうなる?
3.3. 事実に反する認知と国籍
4. 懲戒権
[児童福祉法、児童虐待防止法]
5. まとめ
1. 女性の再婚禁止期間がなくなりました
2016年6月1日、女性の再婚禁止期間が6か月から100日に短縮されました。「前婚の解消又は取消しの日から起算して100日」としました(民法旧733条1項)。
再婚禁止期間は、元々は300日とされていました。
離婚後に産まれた子どもが誰の子か分からない、ということを避けるための規定でした。
しかし、不貞行為もあれば、事実上離婚状態のこともあります。
また、明治時代に比べれば医療技術なども当然向上しています。子どもが誰の子か分かりやすくなっていたため、100日としたんですね。100日あれば、妊娠しているかどうか分かるのではないでしょうか。
また、そういう理由から、女性が「前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった規合」や「前婚の解消又は取消しの後に出産した場合」には、そういう危惧がなくなるということで、再婚できました(民法旧733条2項)。
しかし、女性にだけ再婚禁止期間を設定するのは差別ではないか、という議論は根強くありました。
2022年12月10日、こういった制限が全くなくなり、女性もすぐに再婚できるようになりました(民法733条の削除)。
子どもが誰の子かは、父親からすると大問題ではありますが、だからといって、女性の再婚を一定期間禁止することまで求めることには合理性はありませんね。
DNA鑑定すればすぐに分かります。最近では安く鑑定してもらえます。
ただし、これを書いている時点で、いつ施行されるかは分かっていません。法務省に問い合わせても未定ということでしたので、今のところは、2024年5月10日までには施行されるということしか決まっていません。
2022年12月25日