弁護士の佐野です。
弁護士が購読する本に、判例時報という雑誌があります。
雑誌といっても、特徴的な判決やら論文が載っているものですので、文字ばかりの読みにくいものです。
2022年5月21日号の判例時報2513号に、弁護士としてはちょっと気になる判決が紹介されていまし
たので、ここで取り上げたいと思います。
前提としてまずは、死因贈与と遺贈の違いについて触れますね。
目次
1. 死因贈与と遺贈の違い
2. 死因贈与と遺贈い大きな違いがありました!
2.1. どういう事案だったか
2.2. 古い最高裁判決 債権譲渡禁止特約
2.3. 今回の東京地裁の判決
2.4. この事件の背景事情
3. まとめ
1. 死因贈与と遺贈の違い
死因贈与は、贈与契約の1種でして、民法549条からの贈与の節の最後の554条に規定されています。
(死因贈与)
民法544条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
とあります。
遺贈に関する規定を準用するんだからほぼ同じでしょ、ということです。
実は、「その性質に反しない限り」というのがミソなのですが、現実問題としては気にすることはほとんどありませんでした。
相続税も同じようにかかります。
遺贈は、包括遺贈と特定遺贈というのがあります。
(包括遺贈及び特定遺贈)
民法964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
包括遺贈は、相続財産の全部または一定の割合を与えるというもので、特定遺贈は、相続財産のうち指定したものを与えるというものです。
これらは、ばくっと贈与するか、これと決めて贈与するか、の違いです。
ここではこれ以上は書きませんが、一応、死因贈与と遺贈の簡単に主な違いを書いておきますと、
死因贈与は2人の契約、遺贈は亡くなる方単独の行為
死因贈与は口約束でもいい、遺贈は遺言でしないといけない
ということくらいです。
死因贈与は口約束でもいいと言っても、贈与しようとする人は亡くなっているわけで、立証のしようがありません。
結局書面でしないといけないですね。
となると、そんなに違いはないよね、ということになりそうです。
2022年8月1日