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相続人がいないときはどうしたらいい?

2022/07/11
カテゴリー: 相続人がいない タグ: 相続人不存在
佐野 就平






弁護士の佐野です。


今回は、相続人がいないときについて書いてみたいと思います。

みなさんは、相続人がいないというとき、どんなことを心配されるでしょうか。
財産どうなるの?
死んだらそのままほったらかし?

いろんな心配があると思います。
どうなるか分かっておいて、信頼できる方にお願いしておいて、対策しておくと安心ですよね。

財産について簡単に説明して、お葬式などについて説明したいと思います。

目次

  1. 財産について
    1.1. 財産はどうなる?
    1.2. 財産はほんとに国庫に帰属するの?
  2. お葬式、遺品整理など
    2.1. 頼める人がいる場合
    2.2. 頼める人がいない場合
  3. まとめ


1. 財産について

1.1 財産はどうなる?

亡くなった方に相続人がいるかどうか分からないとき、相続財産は法人とされます(民法951条)。

相続人がいるかどうか分からない状態だと、とりあえず財産を持っている人が誰もいなくなったというこ
とになるので、法律上、財産そのものを人と扱うことにしたわけですね。

法人というのは、会社と同じと考えてもらうと分かりやすいと思います。

その後、色々手続き(民法952条以下)があって、相続人がいないということが確定されます。
この手続きは、亡くなる方にはあまり関係ないので、省略します。

特別縁故者がいる場合、家庭裁判所は、相当と認めるときは相続財産の全部または一部を与えることがで
きます(民法958条の3第1項)

特別縁故者は、

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者


となります。

この後、残った財産は国庫に帰属します。(民法959条)


1.2. 財産はほんとに国庫に帰属するの?


先ほど、相続人がいない場合、最終的には相続財産は国庫に帰属すると書きました。
法律上はそうです。

民法951条は、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」としていて、民
法959条は「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。」としていますので、そ
うなります。

あくまで、法律上は、ですね。

民法951条から959条に至るまでの手続きは、相続財産管理人が行います。(民法952条1項)
この相続財産管理人は、利害関係人または検察官の請求によって、家庭裁判所が選任します。(民法952
条1項)

つまり、誰かが請求しなければなりません

でも、相続人がいない方が亡くなったらといって、検察官が全ていちいち請求するわけではありません。
というか、検察官が請求するのは、おそらく例外中の例外だと思います。
社会的に大きな話題になったりとか、社会的に影響が大きいものに限定されるのではないでしょうか。

ですので、基本的には利害関係者が請求するしかないということになりそうですが、亡くなった人に借金が
ある人がわざわざ請求することはないですよね。
「亡くなった方に、なんとしても金を返したい!」という人はあんまりいないでしょう。

亡くなった方に金を貸していたとか、特別縁故者とか、金を回収したい人がいる場合に請求することになる
わけです。

そういう利害関係者がいなければ、いくら財産があっても放置されることになります。
銀行預金が何億円もあっても、預金者が亡くなったことを知らなければ、それは放置されてしまいます。
広い土地があっても、それも放置されてしまいます。

理論上は国庫に帰属することになるのですが、実際には放置されることの方が圧倒的に多いのではないかと
推測
します。

あんまり財産がない方ですと、亡くなった後の自分の財産の行方に興味を持つことはあんまりないかと思い
ます。
ただ、もったいないことになるかと思いますので、公正証書遺言で遺言執行者を指定して、遺贈してしまう
のがいいかなと思います。

遺産がほんとに少なければ、ほったらかしでもいいとは思いますが、財産の問題ではなく事務の問題は残り
ます。
この後書きますが、何か手を打っておくべきなんですよね。


2. お葬式、遺品整理など


遺産があろうとなかろうと、やっぱり死んでお葬式もされずに放置されるということは寂しいですし、いろんな人に迷惑です。
財産のあるなしにかかわらず、手を打っておかないといけないと思います。

2.1. 頼める人がいる場合


頼める人がいる場合、その方にお葬式をお願いし、財産処理などがスムーズにできるようにしておかないといけませんよね。 お葬式くらいはお願いしておかないと、安心できないと思います。

信頼できる方に、葬儀費用くらいは預けておいてもいいのではないでしょうか。 財産があるなら、やはり遺言を作成しておくのがいいでしょう。
できれば、公正証書遺言です。

遺言執行者としてその人を指定して、財産も全部もらってもらい、遺言の中で死後事務の委任をしておくのが一番きれいに収まると思います。

ただ、遺言執行者は就任するかどうか選べますので、事前にしっかり了解を取っておかないといけません。

財産がないような場合、気持ちでやってくれるというケースになると思います。
その場合は死後事務の委任契約をしておくといいでしょう。

これも、しっかり了解を取っておかないといけませんし、生前にできる処理はちゃんと自分でしておくのがいいと思います。


2.2. 頼める人がいない場合


頼める人がいない場合、弁護士や行政書士に死後事務の委任を契約しておくのもありです。
お金はかかりますが、確実ですよね。

そのお金もないよ、というような場合は、お葬式だけは行政がしてくれることになります。

墓地、埋葬等に関する法律というのがあり、その第9条第1項は、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」としています。

その費用は、同じ第9条2項で、「前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)の規定を準用する。」としています。

行旅病人及び行旅死亡人取扱法は、明治時代の法律で、まだカタカナのまま改正されていないんですが、今でも使われています。
いったん行政が費用を負担しなさいよとなっており、その後相続人に請求することになりますが、相続人がいないので、そのまま行政が負担することになります。

行政は、亡くなった人の遺留物品を売却して費用に充てることができるのですが、大した財産がない人だとそれも手間ですし、大した額にはならないので、そのままになるかと思います。

死後委任事務はしてもらえませんが、せめて役所くらいには、事前に相談くらいはしておきましょう

持ち家ならば、そのまま空き家として放置されます。
賃貸に住んでいたら、お葬式は行政がしてくれて、後の荷物は家主が処分することになるんでしょう。
携帯電話やインターネット、光熱費などの継続的契約は、預金がなくなって引き落としできなくなるまで引き落とされて、将来的に解約されると思います。

高額の預金がある場合、返金されないので、銀行はもらい得で、ウハウハと思われるかもしれませんが、たぶん、連絡の取れない人の預金があるってのは嫌なんですよ。
宙ぶらりんで管理され続けることになるんでしょうね。


3. まとめ


いかがでしたでしょうか。

財産があるときは、公正証書遺言で遺言執行者を決めておく。
財産がないときは、きちんと了解を取った上で、死後委任事務契約を結んでおく。
頼れる人がないときは、弁護士か行政書士と死後委任事務契約を結んでおく。
全く財産がないときは、行政に相談しておく。

こうしておくだけで、少しは不安が紛れるのではないでしょうか。

私が関与した事件でも、1人住まいの方で、突然亡くなられたりとか、自死されている方が後に発見されたりといったケースもありましたが、後処理が大変で、周りの人は後味悪い思いをされていました。

相続人がいる場合でさえそうですので、相続人がいないとなると、後処理をしてくれる方はもっとしんどい思いをされるかもしれません。 死後委任事務契約でも、遺言でも、きちんと形に残して感謝の気持ちを伝えるとか、せめて迷惑をかけないようにしたいところですね。

2022年7月11日

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