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介護した人は遺産をもらえる? 特別の寄与制度2

2022/05/23
カテゴリー: 寄与 タグ: 寄与分特別の寄与
佐野 就平






弁護士の佐野です。




引き続き、介護した人が遺産をもらえるかについて書いていきます。


3. 親族でもない全くの第三者が介護していた場合


こういう場合はいろんなパターンが考えられますね。

資産家だと、亡くなる前にきちんと遺言を書いたりしていそうですが、突然亡くなる方も居られると思います。
また、介護してくれる人に大変感謝しながらも、自分には財産がないからと、報いることは深く考えていないこともあると思います。

いくつか例を挙げて考えてみましょう。


3.1. 身寄りがない人を介護していた場合


全く相続人がいない方を介護していたとします。
その方は資産家かどうかは関係ありません。

こういう場合、まさに特別縁故者の制度の出番です。

民法953条の3は、

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

としています。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

に、家庭裁判所によって権利が与えられるわけです。

ただ、「相当と認めるとき」はさておくとして、「前条の場合において」というのが問題です。

「前条の場合」とは、民法952条以降の相続財産管理人の手続きの結果、前条の場合になったら、ということです。

ということはつまり、いろんな手続きを経てからでないとダメなんですね。

まず、利害関係人または検察官の請求によって相続財産管理人の選任を申し立てなければなりません(民法952条1項)。
この費用は申立人、実際には、自分は特別縁故者だ、と主張する方の負担です。

ここでは相続人がいない場合の話ですが、亡くなった方に実は借金があったり、亡くなった方が遺言を書いていて、遺贈で何かもらうことになっている人がいるかもしれません。
それを処理するために2ヶ月(民法957条1項)、さらに相続人の捜索のために6ヶ月(民法958条)待たないといけません。

費用を出して、申し立てから10ヶ月ほど経過して、問題がなければ「相当と認めるとき」に、ようやく特別縁故者としてもらえるものが出てくる、ということになります。

そこまでしてたくさんもらえるならいいのですが、そうでもない場合、「別に金が欲しくて介護していたわけではないし・・・」となりがちですよね。
むしろ、かえって負担の方が大きいこともあり得ます。
ご近所の方を助けてあげていれば、陰口なんかも気になりますよね。
亡くなった方が、介護をしてくれた人に、かえって恩を仇で返すことになりかねません。

介護してくれる人がいるなら、きちんと法的に有効な遺言を書いてあげるのが、感謝の気持ちを表すことですし、報いることになるでしょう。

3.2. 親族とは縁が切れてしまった人を介護していた場合


これは、相続人がいる場合を想定しています。
子どもがいるけど、事情で絶縁しているというような方の場合ですね。


この場合、相続人が相続しますと言うと、介護した方がどれほど尽力していても、遺産としては全くもらえないことになります。

他の方法で、例えば準委任契約、事務管理、不当利得などを理由にした請求をすることは考えられますが、現実的ではありません。
私ならまず受任することはないでしょう。

こういう場合こそ、介護してくれる人がいるなら、きちんと法的に有効な遺言を書いてあげるのが大事です。
相続人がいるかどうかについては、絶縁してれば相続権はないよね、なんて誤解している可能性もありますし、やっぱり遺言が一番です。

3.3. 内縁の場合


特に気をつけなければならないのが、内縁の場合です。


全く相続人がいない場合でも、特別縁故者の手続きを経なければ、遺産はもらえません。
相続人がいれば、全部持って行かれてしまいます。


内縁関係で子どもがいて、認知されていれば、その子は相続人となりますが、他に前婚の子がいるというような場合、会いたくない人に会わないといけないこともあります

収まっていた紛争が復活することもあり得ます。
揉めるなり大変になったりするのは必至でしょう。

絶対にきちんと法的に有効な遺言を書いておかなければなりません

今や事実婚、同性婚もある時代に、内縁は法律婚ではないから相続権はないと、法律で一律に排除してしまうのはどうかと思います。

事実婚まで至らない同棲まで全部含めてしまうとかなり難しい問題になるのは分かりますが、何らかの手当があってもおかしくない時代ではないかと思います。

ただ、法律ではまだそこまで至っていないので仕方ありません。
絶対にきちんと法的に有効な遺言を書きましょう。

2022年5月23日

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