特別受益1 家をあげると、それは「特別受益」となります
おじいちゃんは、自分が死んだ後のおばあちゃんが心配で、家もある程度の財産も残してあげたいと思いました。
ならいっそ、今のうちに家をおばあちゃんに贈与してしまうことを考えましょう。
弁護士の佐野です。
今回は、おばあちゃんの老後の心配について書いてみたいと思います。
さて、ある方が亡くなった時に、複数の方が相続する場合、その相続人をまとめて「共同相続人」といいます。
その共同相続人のうちの誰かに、亡くなった方から、死んだらこの人にこれをあげますよと遺言に書いていた(民法964条)とか、ご存命中に何かをあげたといった場合があり得ます。
その人は、特別に利益を得ていることになります。その利益を「特別受益」といいます(民法903条1項)。
その特別受益を無視して遺産分割をすると、不公平になりかねません。
そこで、これを公平にするため、そのもらったものの価値をいったん相続財産に戻して計算するということになっています(民法903条1項)。
これを「持ち戻し」といいます。
ただ、何でもかんでも持ち戻すということになると大変です。お年玉やクリスマスプレゼントも返すことになってしまったりすると、わけが分かりません
そこで、特別受益とされるものは限定されています。
2021年12月1日