弁護士の佐野です。
養育費のお話1では厳しい母子家庭の状況を見ました。
ですので、養育費はできる限り多くの額を確保したいところです。
ここでは、金額はどう決めればいいか見てみましょう。
目次
1. やっぱり自主的に払ってもらいたい!
2. 裁判所の養育費算定表
3. 日弁連の養育費算定表
4. まとめ
1. やっぱり自主的に払ってもらいたい!
養育費の額を決める上で大事なことは、金額がどうなるにせよ、やっぱり自主的に払ってもらいたいよね、ということです。
5万円の養育費を忘れず自主的に支払ってもらえるというのと、毎月督促すれば6万円の養育費を支払ってもらえるというのと、8万円の養育費が決まったけど弁護士に依頼して手続きをしてもらわないといけないというのでは、どれがいいでしょうか、という問題です。
特殊な環境の人でもない限り、忘れず自主的に支払ってもらえるのが一番いいのではないでしょうか。
となると、計算上の額より、多少の不満は飲み込んで、払ってもらいやすい額に抑えて合意するというのも手です。
ケースバイケースではありますが、後先考えずに1円でも多くもらうという考えにこだわるのは良くないと、私は考えます。
2. 裁判所の養育費算定表
そうは言っても、何の基準もなく、相場もなく、払いやすい額というだけでは、養育費は限りなく低くなってしまいます。
一応計算方法はあるのはあるのですが、複雑です。
以前は、妥当な養育費は手作業で計算しなければならず、使い勝手が悪いものでした。
そこで、裁判所はかの有名な算定表を作成しておりました。
とても便利で、裁判所が作成したものだということで、一気に広まったと聞いています。
ところが、結構低い基準で算定されてしまうという問題がありました。
そこで、2019年12月23日、改定標準算定表(令和元年版)が公表されました。
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html
今はこれが一般的に使われており、一応基準といえるでしょう。
それでも、十分高くなったとはいえません。
3. 日弁連の養育費算定表
これに対し、旧算定表の不都合性から、日弁連が独自の算定表を作成しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2016/161115_3.html
これはこれで1つの算定表です。養育費が裁判所のよりも多少高めに出るはずです。
簡易版については計算機が作成されたりしており、例えば下記のようなサイトもあります。
「今すぐ計算、養育費・婚姻費用」
https://kajijiken.com/
4. まとめ
もめたら、誰かに決めてもらわなければならず、基準も用いなければなりません。
揉めてしまえば他に選択肢はありませんので、ある意味気が楽ですが、話し合いで決めるとなると、多少の妥協は受け入れなければなりません。
算定表は、あくまで参考というように考えるといいと思います。
2021年11月15日