弁護士の佐野です。
遺産分割の話し合いがまとまらないときに、最終的に相続財産額を決めるのは、法定相続分(民法901条)によります。
相続人には、なれるかどうかで順位があります(民法900条)。
同じ順位の間では、等分に分割されることになります(民法900条4号)。子が2人いたら半分ずつ、兄弟が3人いたら3分の1ずつ、ということですね。これが基本です。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする、とされています(民法900条4号但書)。
たとえば、お兄さんが亡くなって、弟2人と妹がいて、そのうち一方の弟は、両親のうち父母のどちらかが違う人であるという場合です。
この場合、弟1:妹1:弟(異父母)0.5という分け方になります。
以前は、嫡出子、非嫡出子(いわゆる婚外子)というのがあり、非嫡出子は嫡出子の半分しか相続できない、という定めがありました。
それはおかしいでしょ、という訴訟が提起され、最高裁判所は平成25年9月4日にこの規定を憲法違反だ、という決定を出し、これ以後、平等に分けましょうということになりました。
嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことをいいます(民法772条)。
そうでない子どもを嫡出でない子、または非嫡出子といい、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことをいいます。
嫡出でない子(非嫡出子)は、その父または母が認知することができます(民法779条)が、おなかを痛めて分娩する母が認知することは考えにくいので、実際には父の問題ということになります。
嫡出かどうかは、子どもが生まれたときに父母が法律婚であったかどうかの問題であって、子どもの問題ではありませんし、その後子どもが変更することもできません。
にもかかわらず、相続の時に子どもを不平等に扱う理由にするのは行き過ぎでしょう。最高裁判所 Good job! といったところでしょうか。
異父母の兄弟を別にすると、同順位の人たちは頭割りで平等に扱われますので、配偶者とのバランスだけを考えれば十分です。これは民法900条に次のとおり書いてあります。
- 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
- 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
- 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
夫または妻と子どもの場合、夫または妻がまず2分の1。
夫または妻と亡くなった方の親(祖父母)の場合、夫または妻がまず3分の2。
夫または妻と亡くなった方の兄弟姉妹の場合、夫または妻がまず4分の3。
後は頭割りです。簡単ですね。
分りにくい場合は、「法定相続分」で画像検索しましょう。すぐにたくさんヒットします。すいません、ここでは面倒なので、他のサイトのきれいなずで確認してください。
2021年8月15日