弁護士の佐野です。
相続は、「誰が」「何を」「どう分けるか」という問題です。
「どう分けるか」は、調停という手続で行われます(民法970条2項、家事事件手続法244条以下)。これは話し合いの手続で、話し合いではなく裁判官が結論を出すものは審判という手続です(家事事件手続法191条以下)。
調停か審判かどちらの手続によるかは、調停が先ということにされています。これを調停前置主義(家事事件手続法257条)といいます。いきなり審判を求めて申し立ててもいいのですが、調停に変更されてしまうことがほとんどです(家事事件手続法274条)。まずは話し合いをしてみなさい、ということですね。
話し合いがつかずに調停が成立しない場合、それまでの手続が無駄にならないよう、調停に代わる審判がなされることがあります(家事事件手続法284条)。
これに対し、「誰が」「何を」については、調停や審判ではなく訴訟で行われます。
「何を」については、民事訴訟ということになり、地方裁判所か簡易裁判所で民事訴訟(あるいは民事調停)が行われます。
「誰が」については、亡くなった方の血縁か、結婚しているか、といったことが問題になりますので、人事訴訟(人事訴訟法2条)ということになり、家庭裁判所で人事訴訟が行われます。
さて、上記の説明は、説明内容が大事なのではなく(なのでフォントを小さくしてみました)、どれが問題になるかによってどの裁判所でどの手続を取るかが変わりますし、手続によって特徴も違いますし、やるべきことも違いますし、かかる時間も費用も手間も違います、ということが大事なのです。
フルコースでやらなければならないこともありますが、大変な時間とお金がかかることもままあります。どの順でやれば最も早く、無駄にお金や手間をかけることもなく済むのか、これは弁護士と相談しなければ判断できません。
何がベストかは、ケースバイケースで様々で、展開によって手続が不要になったりすることもあります。
そもそも法的手続を取らないことがベストということもあり得るほどです。
詳細に分析しなければならず、それは当事者本人には困難なことで、第三者のプロに頼るのが一番です。
もちろん、私にご相談いただいて信頼していただけてすぐに受任ということになれば嬉しいのですが、一般論としていえば、3人程度の弁護士にご相談されることをお勧めします。
読みがそれぞれ違うでしょうし、比較して選ぶのが大事だと思います。
2021年7月19日